パーフェクトJava EEの感想

Java EE 7 に対応した解説本として出版されたパーフェクト Java EE を 著者のお一人である上妻 (id:n_agetsuma) さんから頂きました。ありがとうございます! 簡単ではありますが、本についての感想をまとめました。

gihyo.jp

実は本を頂いたのはもう半年前の夏のことだったのですが、色々と忙しい状況が続き、感想文の公開がこんなに遅くなってしまいました。ごめんなさい!

本の特色

この本の特色は、Java EE の Web Profile に内容を絞ったという思い切った点にあります。説明する対象を絞ることで、これまでの和書の Java EE 解説本よりも、各仕様の解説が深くなっており、多様な機能、意外と知られていない新機能などがしっかり網羅されています。ただ、そのために jBatch が対象から抜けちゃったのはちょっと残念だったかなと思っています。

また、著作メンバーが Oracle に近くない人で構成されているので、変にバイアスが掛かっていないというのも特色かなと思っています。いわゆる「よいしょ」的な内容が少なく、かなりぶっちゃけたことも書かれているので、実際に利用する人にとっても参考になるのではないでしょうか。

良かったと思った点

この本で特によかったと思ったのは次のような点です。

  • CDI についてガッツリ解説された初めての和書です。
    • Web 上の情報でもここまできっちり網羅された解説は (少なくとも日本語では) 見たことがありません。
    • この点だけでも買う価値があると言ってもいいと思っています。
  • 最新の JPA 仕様をきっちりカバーしています。
    • 新機能である Entity Graph もしっかり押さえられています。
    • JPA を利用するうえで必要とされる解説が一通り網羅されています。
  • Web Profile の範囲で EE6、7 で新たに追加された新機能をしっかりと押さえています。
    • 特に日本語で紹介される機会が少なかった非同期 ServletServlet のモジュール化、WebSocket、JPA Criteria API もきっちり解説されています。
    • 「こんなことできるかな?」を調べるためのリファレンスとして使えると思います。
  • JTA の解説がきちんとされているのも個人的にはポイント大でした。
  • そして、先行して EE8 の MVC も取り上げられている!と言いたかったところですが...嗚呼、あんなことになるなんて...。

イマイチだなと思った点

ちょっとここは良くなかったかなあと思った点も挙げておきます。

  • 読者の対象に初めて Java EE を使って Web アプリケーションを開発しようとしている人が入っていましたが、その割には開発環境構築の説明が不親切だと思いました。
    • やはり、IDE とセットでの環境構築の解説はすべきだと思います。
    • 記述内容も過去に古い J2EE での開発をしてきたことを前提としたところもありました。
  • 章立てが良くないと感じました。
    • いきなり CDI から入るのは違和感がありました。
    • 実際に作って試しながら進めてもらうには、やはりフロントから入っていくのが王道だと思います。
  • JSP は省略すべきではなかった!
    • 一応最後に付録で説明されていますが、ちょっとおざなりすぎかなと。その割には本文中で JSP を使っている箇所も多いですし。
    • ここは異論がある人も多いと思いますが、私は JSP はまだまだ重要だと思っています。JSP はまだまだ利用されている箇所が多く、情報を必要としている人は多くいるはずです。
    • JSP もバージョンアップごとに地味に機能追加がされています。そのような情報をカバーしていると喜ぶ人も多いんじゃないかなと思いました。

この本を読むべき人

以上、感じたことをつらつらと書きましたが、中々の良書だと思っています。特に次のような人にお勧めしたいですね。

  • これまで Java EE (J2EE) で開発してきたけど、最新の仕様にキャッチアップできていないなあと感じている人。
  • 現在 Java EE (J2EE) ベースのシステムを開発、保守しており、リファレンスを求めている人。
  • Spring Framework ベースのシステムを開発している人も読むべきです。Spring も何だかんだ言って EE を利用しており (特に ServletJPA) 、役に立つ記述は多いです。